大判例

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東京高等裁判所 昭和28年(ネ)463号 判決

本件家屋が伊藤和代の所有であつたところ、被控訴人がこれを買受け、その所有者となつたことは控訴人等の認めるところである。

成立に争のない甲第一、二号証ならびに当審における証人山平太郎、鈴木嘉一および控訴人本人伊藤トラ(後記措信しない部分を除く)、被控訴人本人鈴木清一各訊問の結果を綜合すれば、昭和二十三年三月二十七日被控訴人は控訴人飯塚みよしに本件建物階下十三坪三合三勺(但し内一坪が台所であることは控訴人等において争わずまた争わんとする意思があらわれないから自白したものと看做す)を被控訴人主張のような備品を附け、全部店舗として賃貸し、被控訴人は控訴人飯塚みよしから敷金五万円を受取つたところ、同年七月二十日右家屋の二階部分を被控訴人において必要とする場合は何時にても明渡すべき約旨で貸し増し当初控訴人飯塚みよしは控訴人伊藤トラを使用し食料品の販売を、又昭和二十五年頃からは控訴人伊藤トラと共同して繊維雑貨類の販売を業としている事実を認めうる。右認定に反する控訴人飯塚みよし、伊藤トラの当審における各陳述は信用しない。しかして、本件家屋の賃料が被控訴人主張のように改定せられ、昭和二十五年八月一日以降一ケ月金一万二千円と定められた事実は当事者間争ひないところである。控訴人等は右賃料一ケ月金一万二千円の定めは、地代家賃統制令に違反し無効である旨主張するを以て審査するに本件家屋の内階下十三坪三合三勺が全部(内一坪の台所部分を除く)店舗用として賃貸せられた事実は前に認定したとおりであつてその後当事者間においてその全部又は一部の使用目的を変更する旨の合意が当事者間に成立した事実はこれを認めうる証拠がないから、昭和二十五年七月十一日公布即日施行の所謂ポツダム政令同年第二二五号により改正せられた地代家賃統制令第二十三条の規定およびこれにもとずく地代家賃統制令施行規則第十一条の規定により統制より除外せられ、右賃料の約定は有効である。更に控訴人等は控訴人飯塚みよしは昭和二十六年三月二十九日被控訴人に対し家賃減額の請求をなし、右賃料は相当額に減額せられたと主張するを以て案ずるに成立に争いのない乙第三号証によれば昭和二十六年三月末頃同控訴人は被控訴人に対し家賃減額の請求をなした事実を窺いうるけれども、借家法第七条に規定した事情の変更がない限り当事者の一方的行為により賃料の増減をなすことはできないと解すべく、右事情の変更があつた事実および本件家屋の相当賃料額が控訴人等主張のようであることについてはこれを認むべき証拠がないから右減額の請求もその効がないものといわねばならぬ、更に控訴人等は本件家屋の二階は雨もりが甚だしく、その使用収益が妨げられる限度に応じ、右家賃は減額せらるべきものであると主張し、後に説明するように本件家屋に雨もりの個所があつたことは事実であるけれどもその使用収益を妨げられた期間および範囲についてはこれを認むべき証拠がないから右減額の主張もまた採用し難い。

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